角角しかじか

放っておいても、あり続け進化していくものは放っておこう
自分は消えていくものたちの声を聞くことに時間をつかおう

この二行の文章を目にした時ふいに思い出した

実家の本棚にあった写真集二冊

慌ただしく過ぎていった煩雑な時間にかまけて

行方知れずにさせてしまった後ろめたさと後悔の念が再浮上する

２０年以上前に出版されたその写真集はすでに本屋さんにはなく

やっと辿りついたネットオークションのサイトには

第一集だけそれも二倍以上の高値が付いていた

そこで『灯台もと暗し戦法』に切り替える

盛岡の古本屋に手当たり次第電話で当たってみる

と！！８件目にして手ごたえあり！！それも二冊とも揃っていて元値の三割安

さっそくその日に手に入れた

嬉しさと安堵感そして何よりも父と母に触れる思いがした

盛岡出身の伊山治夫さんが撮影した懐かしの盛岡

点在する発見と哀惜

　

一枚の写真の中の隅々まで目を凝らし

記憶を紐解きながらゆっくりゆっくり

一頁また一頁