毎朝
12年前に書いた本の
同じ日付のページを開き読み返す
ここ数日の日課だ
病床の夫のメモ書きは短いながらも冷静さを失うことなく
淡々と綴られている
到底正気ではなかったはずの私の文面も改めて読んでみると
意外なことになかなか的を得ている
今よりも懸命に生きていた自分がそこにいる
今よりも好きな自分がそこにいる
朝食を途中にして庭へ出る
散らばった落ち葉をただ黙々と拾い集める
花の終わった宿根草の茎を切り詰める
セダムに絡むしつこいカタバミのなんとやっかいなこと
そうこうしているうちに大きなバスケットは山盛り
ふと自分の感情がそこに重なる
汚れた手を洗い流し
その日一日だけのスタートを切る