留守電二重奏
母の15歳下の弟 K伯父から留守電が入っていた
「お陰様できのう無事役目を果たしてきました。
いつもながら完璧な推敲に感謝です。ありがとう」
会社を退職後は常任理事としてまた高校や大学の同窓会の役員として
いろいろな場面で挨拶や投稿を頼まれる機会が多い伯父の下書き原稿を
推敲するのがここ数年の私の役目だ
容姿もさることながらその録音の声と抑揚が母の声と重なり胸が熱くなった
さっそく録音してヘッドホンで何度も聞き返す
留守電がこれほど貴重で大切に思ったことはない
母は未だ近くにいるのだと再確認した温かい日
K伯父にはどうか長生きしてほしいと心から願わずにはいられない