満腹・万感
始めて入った大正蔵
一歩足を踏み入れたその瞬間レトロな雰囲気に心動く
大正から昭和にかけての日用品や食料品着物をリフォームした衣類
津波被害を受けた沿岸の人達の作品も数多い
奥のコーナーにはなつかしい看板
そして酒蔵元ならではの道具類も展示されている
タイムスリップしたかのような二階 子供の遊び場としても解放されていて
男の子がダンプカーを乗り回している最中です
棚にはあっと声を上げてしまいそうな見憶えのあるものばかり
まるでおもちゃ博物館のようです
母から聞いたことのある「えんつこ」
家族が農作業をしている間赤ちゃんをこの籠に寝かせていたのだそう
幅広の紐は安全ベルトの役目だったのでしょう
一番心惹かれたのは「箱ぞり」
これと同じようなものが父の実家の米屋の倉庫に二台あって
冬になると子供同士で雪の上を押したり乗ったりして遊んだものです
箱を支える脚の底面に沿って鉄板が打ち付けてあります
冬の一番滑走の日
雪道に赤錆色の二本線とゴム長靴の足跡が交錯する光景が瞬く間に蘇えってきます
予期せぬ出会いは 友の誕生祝いの余韻さえも
吹き飛ばしてしまうほど私を魅了したのでした
ふらりと立ち寄ったこの場所でこの日最高の出会いがありました
それは陳列棚の隅にまるで隠れるように置かれていました
子供の頃家にあったものとほぼお同じデザインの「霧吹き」です
その手触りが母と過ごした時間を再現させてくれるのです
ぷつぷつ ふつふつと