T・賛
Tさんと知り合って6年余りの歳月が経ちました。私が制作した「海のある町」という
写真入りのファイルを、通われていた治療院でたまたま手に取ってくださったことが
きっかけとなり交流が始まりました。東日本大震災の後、南相馬から大学時代を過ごし
た盛岡に単身で移住されました。想像を絶する苦労が心身に大きな影響を与えたことは
言うまでもありません。
20年以上共に暮らした二匹の猫を相次いで失くし、いくつかの持病も抱えていらっ
しゃる上に、片方の眼の視力を失ないました。
それでもTさんには大きな生き甲斐があります。美術教師であった持ち前の能力はまだ
まだ健在です。所属している絵のグループ展に毎年参加され、新たに月二回の絵画教室
を始められることも知りました。
先日届いたメールに二点の絵が添付されていました。「左目だけで描く絵は立体感が
出ないのですが、これからも続けていきます」鮮やかな色彩とストレートな表現はTさ
んの生き方そのものを見る思いがします。
揺るぎないTさんの「底力」を多くの方に見て頂けますように。