utashyaのブログ

明暗の日々を駆け抜ける

子包み

聖体拝領の儀式さながら

届いたばかりのそのパンを指でつまみ うやうやしく口に含みます

酵母の香りが鼻腔をやさしく通り過ぎていきます

 

ひとつひとつの姿をじっくり観察するのです

出来上がるまでのその人の 一連の動作が目に浮かびます

一本一本の指がそれぞれの役割を忠実に果たします

ほど良い温度に温められた場所に大切な分身を送りこみ

予想通りの変身を成し遂げられますようにと願うその心は

母親の愛情にも似ています

 

折り重なる数々の行程を纏い 今目の前にあるその恵みの盛りを

できるだけありのままに収めようと

何度も何度もカメラのシャッターを切るのです

 

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