フルカード
Kちゃんは二軒先に住むN家の長男で私が高校一年の時小学一年生だった
やんちゃ坊主の小さな背中のランドセルはどう見てもアンバランス
黄色の帽子が顔を半分隠していた
「ママ~」「パパ~」「おねぇちゃん」甘えん坊特有の響きがまだ耳に残っている
そんな彼が50歳にして突如他界した
姉から速報を受けた時はすぐに信じることができなかった
4人家族の中で一番先に亡くなるなんてあまりにも悲しすぎる
お通夜前に焼香に駆け付けた
しばらく会っていなかったKちゃんは彼の父親とそっくりの顔をしていた
二日後の午前中火葬場の案内表示を見て始めて一時間早いことに気付いたが
静まりかえった待合室は数十年前の出来事を思い起こすのに丁度良い間となった
両親と姉に見守れながらのお別れは甘えん坊らしい最期と言ってしまっていいのだろうか・・・いや決してそんなことがあるはずはない
参列者を見送る伯父さんの悲痛な顔を見た時かける言葉が見つからなくて
小さく丸くなった背中を何度も何度もさするのが精いっぱいだった
人の一生の儚さカードがまたもや目の前で振られたような気がした