utashyaのブログ

明暗の日々を駆け抜ける

鳴動の日

今回の体調不良にやっと終息が見えてきた。

ただ治療中に主治医がそれとは別の異変に気付きエコー検査を促されたのには動転し

た。いつものことだが間髪入れずに質問した。「その異変から予想される病名としては

どのようなものが上げられるのでしょう」「やはりそうきたか・・・」苦笑いを浮かべ

ながら、大まかな答えを数例上げてくださった。そして最後に一言『大山鳴動して鼠一

匹』しかしそれで〆とはいかず「それはどういう意味であるのか解説をお願いしたい」

というややこしい展開へと続いた。

できるだけ早く白黒を付けたかった。その検査の予約日がきょうの午前中だった。朝出

かける前、大病院に紹介されることまで予測し、トレーニング用パンツから外出用の物

に変えた。ジャズにしっかり家を守るように言い聞かせケージに入れた。

 

検査が始まった。探触子が向きを変えながら私の身体を滑っていく。胆嚢、膵臓、肝臓

脾臓、腎臓、大動脈、次々と映し出される画像は確かに自分のものに違いないのだが、

最初は実感が伴わない。だがそれそのものが私の生命を維持しているものと意識し始め

ると、なんといじらしくいとおしい我が臓器と思えてくる。最初の不安が感動へと変

わっていった。

結果は目立った異常はなく、少々の変異は年齢相応のものであるとの結論が下された。

同時に受けた肺がん検診もまったく異常がなく、曇りのない肺胞におもいきり外気を吸

い込み帰路に付いた。

 

そういえば検査開始直後の先生の第一声は「エコー検査には極めて理想的な身体であ

る、」だった。ガラ系にも医学的利点はあるのだ。

ひとつだけ聞き損ねたことがある。大山鳴動して出てきたのは鼠だったと解釈して

いいのかということ。忘れずに次回の質問とさせていただこう。

 

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白点

四日間散歩していなかったジャズといつもの公園へ

なんか新鮮 そして とても貴重な時間

途中道路の向い側にネコ発見

相当距離はあるもののすごい迫力 

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家を守る責任感に満ちている

ジャズはまったく気付いていない 臆病者にはラッキーかも

もうちょっと接写

・・・はい・・・さいなら

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一の涙 と 二の涙

かかりつけ医院で点滴を終え家に辿り着いた途端、睡魔に襲われソファでそのまま二時

間眠ってしまった。週末は次男の舞台を観に東京に行くはずだったのだが、諦めるしか

なかった。チケットの払い戻しの手続きを友に頼み、ホテルの予約もキャンセ

ル。こんな番狂わせは始めての経験だった。

だるい我が身と悔しい心をもてあましただただ寝ていることの苦痛といったら。

平凡な毎日こそが幸せなのだ。

ただ読みかけの本を完読できたこと、そして宮沢賢治の詩二編と出会えたことは大きな

喜びだった。そして生の人物像に迫ろうとする著者の視点にも心打たれた。

 

『見よ桜には おのおのの千の 位置ありて 青々と 日にかがやける あり』

『よく描き よくうたふもの なにとて かくは 身よわきぞ と』

 

友人に借りたその本には著者のサインと和紙に包まれた桜の押し花が挟んであった。

右に左にこぼれ落ちる涙は無念と感動の混ざり合った心を鎮めてくれたのだった。

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