テレビドラマを敬遠しがちな私だがこの番組だけは見ておこうと思った
震災から3年が経った今でも復興どころか復旧の只中に置かれている被災地の現状を
どのように捉えるのかそしてまたどのように締めくくるのか
山田太一氏の脚本と製作者側の意図を知りたかった
テレビの前の二時間は久々の体験だったが
現地の人達の生の声を聞き綿密な取材をしたであろうこの作品に
知らず知らずのうちに引き込まれていた
役者それぞれの持ち味を生かした自然な演技も良かった
「時は立ち止まらない」残酷さとそれゆえの救い
それらが同時進行していく中での人間の葛藤とせつないばかりのやさしさ
フィクションの中にもノンフィクションが存在しえるのだと実感した
ラストシーン
時を経て土台が剥き出しになったかつての家の跡地に
家族がそれぞれの想いをこめて立つ
三年前瓦礫がまだ散乱する中
勘を頼りに4年間住んだ新聞社の社宅跡に行き着いた時の一部始終が蘇った
そこに元気だった夫と二人の幼い息子達の姿が見えた鮮明な記憶
私の持つ喪失感は被災者の方々の持つ喪失感とは
比べ物にならないほど些細なものだとわかりつつも
ドラマの中に自分を投影させてしまっていた
布団に入っても涙が止まらなかった
それは今までに経験したことのない感覚だった
虚しさもどかしさせつなさ寂しさそして一片の希望
いつしか私は眠りに落ち当然のように朝を迎え
そして今
立ち止まることのない時の中に居てこの文章を綴っている
(2007年撮影)
(2013年撮影)