K伯父から恒例の頼まれごと
高校の同窓会長や大学の校友会長の肩書を持つK伯父の
年度末から新年度にかけての行事その他諸々の文書の校閲をここ数年引き受けてきた
自分でやって!と言いたいところではあるのだが
10歳も歳の離れた母の大切な弟だったこと またその彼に
「文才のある姪の力添えを是非」とおだてられれば無下に断ることもできない
ただ今回の場合はいつもとは少し違っていた
仕事がきっかけで親交を深めてきた友人が亡くなられその弔辞の校閲だったのだ
生前からどちらかが先に他界した時は相手に弔辞を読むことと約束していたらしい
その友人のご葬儀は家族だけで執り行われたため
伯父が知らせを受けたのは数日経ってからのことだったという
それでもやはり約束を果たしたいと伯父は募る想いを書き記したのだった
その原稿を持ってきたのは午前中早々
体調の悪かった私に気を使い「急がないから」と言ってもらったのだが
せっかちの私にどうしてそのようなことができよう
さっそく赤ペンで修正を入れパソコンに向った
縦書きにしてフォントは行書体
大分要約したつもりだったが用紙三枚になった
すぐさま伯父に出来上がったことを連絡しほどなく渡すことができた
その日の夕方伯父からの電話
「ありがとう!あの後さっそくご自宅に伺い仏壇の写真の前で弔辞を読んだよ!」
え?!お供えするだけだとおもったら実際に読んだの!
奥様がとても喜んでくださったとのこと 私も間接的ではあるがうれしかった
自分の役割の意味を感じ取った瞬間でもあった
四月になるとまたまた原稿が集中的に舞い込んでくることが予想されるのだが
もう出来ないと思っていた親孝行の延長と思えば苦でなくなる
母そっくりの顔をしたK伯父と触れあえることに感謝をしなければ
と 改めて自分に叱咤激励を飛ばす
✾眼の健康維持にとK伯父より✾